2019年11月16日(土)更新
第98回全国高等学校サッカー選手権大会東京都大会二次予選
都立東久留米総合高校対関東第一高校
マッチレポート
第98回全国高等学校サッカー選手権大会 東京都大会2次予選Bブロック準決勝
都立東久留米総合高校 対 私立関東第一高校
2019年11月10日(日)13時キックオフ
会場 味の素フィールド西が丘
試合形式 80分 延長20分 以後PK戦
天候 晴れ 気温 18℃ 湿度 46% 風 北東1.6m/S
前半 都立東久留米総合 0-0 関東第一
後半 0-0
延前 0-0
延後 1-0
合計 都立東久留米総合 1-0 関東第一
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「後半戦」
後半開始早々チャンスを作り出したのは関東第一。右サイド4番、横山慎也からのパスをペナルティーエリア内へと走りこんだ14番、類家暁が受けるが、コントロールが上手くいかず、ボールはゴールラインを割ってしまう。
前半戦とは図式が少し変わってくる。今度は東久留米の攻撃も負けていない。前線へのシンプルなフィードばかりではなく、状況に応じては、ボールを繋ぎながら関東第一ゴールへと向かっていく。6番、足立真、7番、柳田晃陽、19番、田中陸渡、10番、野口太陽、11番、佐藤海翔、そして12番、松山翔哉が突破を試みる。
しかし、後半2回目の大きなチャンスを作り出したのはまたも関東第一だった。16番、平田晟也がドリブル突破を試みながら右サイドで待つ13番、菅原涼太へとパス。菅原から中央で待つ4番、横山へとフィードしたボールがこぼれた場所に待っていたのは、またも平田。懸命に身体を寄せる東久留米11番、佐藤だったが、平田のシュートの方が速い。
会場が沸く。右足で放った強烈なシュートが東久留米ゴールへと向かうが、そこに待っていたのは東久留米の5番、キャプテンの下田将太郎。ボールは軌道を変え、ゴールラインを割っていく。
下田の目が強く訴えている。「ゴールは許さない。」
中学校では東京久留米FCジュニアユースで活躍。彼の父親は、前身である都立久留米高校サッカー部出身だ。小さな頃から下田将太郎が目標にしてきたのは「全国大会出場」。その気持ちは常にぶれることなく、目的地への歩を進めている。キャプテンの気迫の籠ったプレーに東久留米応援席のボルテージが上がっていく。
しかし、関東第一の攻撃は続いた。またも右サイドから16番、平田が中央へと折り返したボールに4番、横山が合わせる。だが、この場面でも「ボールとゴールを結んだ直線上」に立つプレイヤーがいる。それが東久留米の闘将、下田将太郎だ。
我慢を続けた東久留米に大きなチャンスがやってくる。31分、右サイドで得たコーナーキックの場面。キッカー6番、足立真からのボールにファーサイドで合わせた下田のヘディングがサイドネットを揺らす。一瞬、ゴールかと思われた場面だったが、ボールが揺らしたのはアウトサイドネットだった。
この場面、多くの観戦者がシュートを放った下田に目を向けたと思う。しかし、東久留米同様、関東第一の2番、鹿股翼が「きちんと競り合い、100%のヘディングシュートをさせてなかったからこそ」ボールは外側のネットを揺らすという結果に至ったのだ。それは、次のプレーがコーナーキックからリスタートされたことが証明している。「良い守備」がなければ、「見応えのある攻撃」というものは生まれない。逆もしかりだ。そのレベルが高ければ高いほど、人々は「その試合」に熱狂する。
試合内容に戻ろう。決定機を数多く作ったのは関東第一。しかし、東久留米の粘り強い守備は衰えることなく、試合はスコアレスのまま延長戦へと突入した。
後半スコア 【東久留米0対0関東第一】
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「延長前半戦」
延長戦に入ると、図式が随分と変わってくる。東久留米がボールを保持し、関東第一ゴールへと向かう場面も増え始めたのだ。「慣れ」や「相手の疲れ」はもちろんある。だが、僕はこうも思う。彼らは試合中に成長を続けている。それが育成年代の魅力でもあるし、指導者の立場からすれば、(僕が指導に携わらせて頂いた訳ではないけれど)「そういった成長をすることが出来る選手たちに出会えた」と感じる「喜ばしい瞬間」なのだろう。
延長前半スコア 【東久留米0対0関東第一】
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「延長後半戦」
均衡が崩れたのは延長後半5分。トータルタイム95分。
右サイド、サイドラインからロングスローでチャンスメイクを狙った14番、類家のボールからのこぼれ球を10番、野口が前線で待つ8番、山中真紘へとフィード。東久留米のカウンター攻撃のスタートだ。難しいコントロールながら、ボールをきちんと収めた山中が12番、松山翔哉へとボールを受け渡す。
ボールを受けたドリブラー、松山の目の中に入ったものは、自分自身が向かっていくべき「ゴールへの道筋」だったのかもしれない。
松山の右側を並走する山中が右側に空いているスペースを指差しながら走っている。
その時、松山が選んだ選択肢は「自分自身でシュートを放つこと」だった。松山の右足を離れたボールが名手、出口貴也の左手横を通り過ぎていく。
「ゴール!!」。待ちに待ったゴールの瞬間を手に入れたのは東久留米総合高校。溜めに溜め続けた「心からの喜びの気持ち」を選手、サポーターたちが爆発させる。観客動員数5,052人。味の素フィールド西が丘スタジアムの風景が歪み続ける。
もちろん、このままでは試合は終わらなかった。延長後半9分59秒、右サイドから11番、貝瀬敦がゴール前ファーサイドへとフィードしたボールに二人の選手が飛び込む。誰もが同点弾の瞬間を想像してしまう場面だったが、「ふたり」ということがマイナスの方向へと向かう理由になってしまう。「互い」に一瞬気を取られた結果、ボールをミートすることが出来なくなってしまったのだ。
主審の福島崇氏が時計を見つめる。「トータル100」が終わる瞬間だ。スコア通りの苦しい試合となった準決勝の舞台は、東久留米総合の勝利という結果でその幕を下ろした。
延長後半スコア 【東久留米1対0関東第一】
合計スコア 【東久留米1対0関東第一】
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2019年11月16日(土)午後1時15分。東京都B代表が決定する試合のホイッスルが鳴り響く場所は、駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場だ。
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「前半戦」の記事はこちらからどうぞ。
写真 笠井亨(かさいとおる)早川治(はやかわおさむ)
記事 早川治(はやかわおさむ)